モチーフで巡る名画

ウィリアム・アドルフ・ブグロー「小さな天使(キューピッド)」の世界!

こんにちは、『ひそやかな美術館』の管理人です。

今回、当美術館「モチーフで巡る名画」は、題名にあるように、「小さなキューピッド」に焦点を絞り鑑賞して行きたいと思います。

美術の世界で「アモール」や「クピド」とも呼ばれる、翼の生えた小さな神さまたち。

巨匠ブグローが描く「愛らしく魅力的なキューピッド」の絵画は、私的にキューピッド絵で表現の魅力が最高と思っています。

ブグローの描く人物や神の表情の絶妙さと繊細なセンス、特に視線の微妙な表現はその感情の現れ具合が的確に伝わって来るかのようです。


「キューピッド」はどのようなの存在?

絵画の中で、矢を構えてはにかんだり、女の子の耳元で内緒話をしたりしている小さな天使たち。

もともとはローマ神話に登場する「恋の神さま(クピド)」とされているようです。

また、彼ら中の一部が持っている、一見すると武器に見える弓や矢については下記のような説明があるようです。

「黄金の矢で射られた者は激しい恋に落ち、鉛の矢で射られた者は恋を拒絶してしまう」という、ちょっとお騒がせな道具を持っています。

また美の女神ヴィーナスの息子(あるいは従者)で、美の本能のまま人間や神々の心を揺さぶるいたずらを仕掛けます。

ブグローはこの古典的な神話をモチーフにしながら、当時人々も「なんて愛らしい!」と悶絶するような、

最高に魅力的な子供の姿として描いたのです。


ブグローが描くキューピッドの「3つの魅力的ポイント」

なぜブグローの描く小さな天使たちは、「愛くるしい、かわいい!」と心が躍るのでしょうか?

1. 触れたくなるほどの質感肌

ブグローの超絶技法が最も光っている箇所は、やはり子供たちの肌の質感ですよね。

ほんのり赤みを帯びた頬、ぷにぷにしつつ光に透けるような白い二の腕や太もも。

リアルさと柔らかさの表現は、ブグロー絵画の特権です!

2. 人間味あふれる「いたずらな表情」

ブグローの描くキューピッドたちは、決しておだやかとか澄ました顔をしていません。

例えば、「次は誰に恋の矢を当てようかな」と企むような流し目を送っていたり、人差し指を口に当てて「シーッ」と内緒ポーズをしていたり。

その生き生きとした表情は、観る側の気持ちが、特に絵の中でも注目する箇所になりますね。

3. 「小さな白い翼」

この羽で本当に飛べるのかな?と思わせる、愛嬌たっぷりの背中に生えた小さな翼も、細部までこだわって描かれている印象です。

多分一般的に「羽」を描くとなれば、やはり鳥の羽を参考にするでしょう。

まるで本物の白鳥や小鳥の羽を1枚ずつ丁寧に植え込んだかのようというと少し大袈裟かもしれませんが、ふわふわで柔らかそうな質感が、とても素敵に表現されていますね。


ブグロー『愛の神と娘』が描く、微笑ましいワンシーン

最初にとりあげる展示品は、ウィリアム・アドルフ・ブグローが1880年に発表した傑作『エロスから身を守る娘』です。

画面の中で繰り広げられているのは、娘といたずらなキューピッドによる、なんとも微笑ましい「押し問答」なシーン。

この名作に隠された巨匠ブグローの演出力と、思わず笑みがこぼれてしまう見どころを解説します。


作品の基本情報

  • 作品名: エロスから身を守る娘
  • 制作年: 1880年
  • 所蔵: ゲティ・センター(アメリカ・ロサンゼルス)

「幸せそう」に見える構図のヒミツ

この絵の最大のポイントは、恋の矢を突きつけられている娘が、決して悲しそうではないところです。

「目は口程に物を言う」ではありませんが、心の内を映し出すような二人の視線と、絶妙に魅了する口元の表情が印象的だと思います。

ブグローは二人の心の内側を、天才的なデッサン力で描き出していますよね。

1. 「矢を向けないで」の仕草でありながらこぼれる笑み

上記と重なった記述になってしまいますが、娘は両手でキューピッド(エロス)の小さな肩を押し返しています。

「もう、私に恋の矢を放たないで!」と抵抗しているようなシチュエーションです。

しかし、彼女の口元は微笑んでいるかのように緩み、瞳も優しく輝いている。

本気で拒絶しているわけではなく、ウキウキした本心を隠しきれず、少しだけこぼれ出てしまっている感じです。

2. すべてをお見通しのようなキューピッド

一方で、押し返されるキューピッドの表情も、まるで彼女の心の内を見透かしているかのようです。

「本当は私の矢に射抜かれたいんでしょう?」と、すべてを見透かしたような、ニヤリとした悪戯っ子の顔をしていますね。

小さくぷにぷにとした足で地面をしっかり踏みしめ、大人の女性にも引けを取らない力強さで、ぐいぐいと黄金の矢を近づけています(笑)。


おわりに

美の巨匠ブグローが描いた傑作。

彼女はきっと最後にはキューピッドの甘い罠に落ちてしまうのだろうな、と、その先の展開までつい想像してしまいます。

140年以上前のフランスの人々も、きっと同じように笑顔を浮かべていたことでしょうね


今回もここまで読んで頂きまして、ありがとうございました!

次回もキューピッド画の傑作を鑑賞していきます。

お楽しみに。

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